無料トライアルお申込み
お問い合わせ

複数税率に販売管理システムで備える
税率の追加・切替・元に戻す処理のポイント

法令・制度対応
2026年10月20日
複数税率に販売管理システムで備える|税率の追加・切替・元に戻す処理のポイント

消費税の税率は法改正で変わることがあります。商品によって税率が異なる「複数税率」では、商品ごとに税率を設定し、税率別に集計・表示することが必要です。そのため、税率が変わるたびに、販売管理システムの設定や運用を見直すことになります。
この記事では、「税率が変わる」「複数税率になる」といった場面で必要な販売管理システムの機能や運用のポイントを整理します。
あわせて、令和9年4月から予定されている飲食料品の税率引下げ案を例に、システム側での準備や、税率が元に戻る場合の処理を解説します。

※ 本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。令和8年10月9日に法案が閣議決定され、国会に提出されています。税率引下げは、法案が国会で成立した場合の内容です。

今回の消費税引下げ案は、従来の税率変更と何が違うのか

令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる案が示されています(法案が成立した場合)。案の主な内容は、次のとおりです。

項目 内容
期間 令和9年4月1日〜令和11年3月31日(2年間)
税率 飲食料品 1%、新聞の定期購読 8%、その他 10%
対象 現行の軽減税率8%の対象である飲食料品と同じ範囲
経過的な取扱い 令和9年1月1日前に締結した定期供給契約や、同日前に販売条件を提示した通信販売など、一定の取引は、4月1日以後の販売でも8%(詳細は国税庁の資料でご確認ください)

出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(国税庁ホームページ「消費税率引下げ特設サイト」掲載のPDF)を加工して作成

※ 法案の内容は国会審議で変更される可能性があります。最新の情報は国税庁などの公的機関でご確認ください。事業者向けの届出・簡易課税・中間申告などの特例については、税理士にご相談ください。

税率の適用期間のイメージ図。令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間は、飲食料品1%、新聞の定期購読8%、その他10%の3種類の税率が並び、令和11年4月以降は税率を元に戻す処理が必要になる

過去にも税率の変更はありました(2014年に5%→8%、2019年に8%→10%等)。
今回の引下げ案は、従来の税率変更と何が同じで、何が異なるのかを整理します。

従来の税率変更と同じ点

  • 税率は原則として販売した日で決まる。契約の時期によって旧税率が残る取引(経過的な取扱い)が設けられる点も同じ
  • 過去の伝票は、当時の税率のまま保持する必要がある

従来の税率変更と異なる点

  • 1%・8%・10%の3種類の税率が、一時的に並ぶ
  • 税率の引下げは2年間の予定のため、期間が終わったときの戻し処理まで、あらかじめ見ておく必要がある

基本の考え方は従来と変わりません。そのうえで、税率の数と戻す処理が加わる分、数字を上書きするだけの運用では対応しにくくなります。
以降の章ではこの点を踏まえ、販売管理システムで確認しておきたいことを整理します。

複数税率で販売現場に必要な対応

商品によって適用される消費税率が異なる場合、販売業務では次のような仕組みや運用が求められます。

税率ごとの集計と請求書の表示

1枚の請求書内に税率の異なる商品が混在する場合、税率ごとの合計金額と消費税額を分けて表示する必要があります。取引量が増えるほど、税率ごとに集計して請求書へ反映する作業が負担になりやすくなります。

飲食料品の税率引下げ案が実現した場合

たとえば令和9年4月分の請求書(3/16〜4/15締め)には、8%・1%・10%の取引が混在します。国税庁のQ&Aでは、インボイスの記載方法として、3月分と4月分に分けて発行する方法や、期間ごとに小計を区分する方法が例示されています。

締め期間が切替日をまたぐ請求書のイメージ。3/16〜3/31分の8%対象と、4/1〜4/15分の1%対象・10%対象を、期間ごとに小計で区分する。または3月分と4月分に分けて請求書を発行する方法もある

出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(国税庁ホームページ「消費税率引下げ特設サイト」掲載のPDF)の問2-2を加工して作成。図は、これを基に株式会社ダイドーシステムが作成したイメージです。

商品ごとの税率設定

税率は品目によって異なるため、税率の異なる商品を扱う場合は、伝票の明細ごとに税率を設定できる必要があります。
また、商品マスタに税率を設定し、伝票の入力時に自動で反映される仕組みがあると便利です。

税率が変わる・戻るときに必要な処理

税率が変わる際、単に税率を上書きするだけでなく、次のような処理を考える必要があります。税率を元に戻すときも同様です。

切替日に税率を切り替える

税率は原則として販売した日で決まります。受注や契約が切替日より前でも、切替日以後に引き渡す取引は新しい税率になります(経過的な取扱いが適用される場合を除く)。

出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(国税庁ホームページ「消費税率引下げ特設サイト」掲載のPDF)の問1-3を加工して作成

切替の方法はシステムによって異なります。新しい税率を追加し、切替日に商品の税率を一括更新する方法や、適用期間を登録して自動で切り替える方法があります。
いずれの方法でも、切替日当日の手作業をどれだけ減らせるか、伝票のどの日付(出荷日・検収日など)で税率を判断するかを、事前に決めておくことが大切です。

過去の伝票の税率を保持する

税率の変更後に過去の伝票や請求書を再発行する場合は、当時の税率で表示する必要があります。税率の数字を上書きすると過去の伝票にも影響するため、旧税率を残したまま新しい税率を追加する運用ができるかが要点です。

税率の変更方法の違いを示す図。税率の数字を上書きすると過去の伝票の税率も1%に変わってしまう。旧税率を残して新税率を追加すると、過去の伝票は8%のまま、新しい伝票は1%になる

仕入・返品を、元の取引の税率で処理する

仕入の税率の扱い

令和9年3月31日以前に仕入れた飲食料品は、4月1日以後に販売しても、仕入の税率は8%のままです。
買い手は、売り手が適用した税率で仕入税額控除を行います。

出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(国税庁ホームページ「消費税率引下げ特設サイト」掲載のPDF)の問1-3、問1-4を加工して作成

返品の税率の扱い

令和9年3月31日以前に税率8%で販売した飲食料品が、4月1日以後に返品されることがあります。
この場合、対価を返還したときの消費税額は、販売時の税率8%で計算します。

出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(国税庁ホームページ「消費税率引下げ特設サイト」掲載のPDF)の問1-5を加工して作成

いずれも元の取引の税率で処理する必要があるため、販売と仕入で別々の税率を設定でき、返品を元の税率で処理できる仕組みが必要です。

税率を元に戻す処理に備える

引下げは令和11年3月末までの予定のため、期間が終わるときには、税率を元に戻す処理が発生します。法案の内容は今後変わる可能性もあるため、切替作業を無理なくやり直せる仕組みが求められます。

税率が3種類以上に増える場合に備える

日本の消費税は、諸外国で使用される付加価値税(VAT)に当たります。2026年10月現在、税率は標準税率10%と軽減税率8%の2種類です。

EU(欧州連合)では、付加価値税に関する指令(EC指令)で、標準税率は15%以上とされています。そのうえで、食料品や新聞・書籍など特定の品目について、軽減税率やゼロ税率を設けることが認められています。

国別に見ると、フランス・ドイツ・スウェーデン・英国では、標準税率に加えて、軽減税率や税率0%のゼロ税率が設けられており、いずれも税率が3種類以上あります。

出典:「諸外国における付加価値税の概要」(財務省ホームページ)(2026年1月現在)を加工して作成

日本でも、前述の引下げ案では、1%・8%・10%の3種類の税率が一時的に並ぶ状況が示されています。
税率の数に上限があるシステムでは、税率が増えるたびに改修が必要になる場合があります。必要な数だけ税率を追加でき、請求書や集計表も3区分以上に対応できるかどうかは、長く使い続けるうえでの確認点です。

システム選び・見直しのチェックポイント

税率変更への備えとして、販売管理システムでは次の点を確認しておくと安心です。

確認項目 確認のポイント
税率の追加 登録できる税率の数に上限はないか
切替の方法 税率の導入時や元に戻すときに、一括更新や適用期間による自動切替など、切替作業を簡単にする仕組みがあるか
過去伝票の税率 過去の伝票・請求書の税率が、当時のまま保持されるか
商品・明細ごとの税率 商品ごと、伝票の明細ごとに税率を設定できるか。販売と仕入で別々に設定できるか
販売日以外で税率が決まる取引 定期供給契約や通信販売など、取引に応じて税率を指定できるか
返品・訂正の処理 切替後に、切替前の販売の返品・訂正を、元の税率で処理できるか
請求書・集計表 3区分以上の税率ごとに、請求書の区分表示や集計ができるか。締め期間が切替日をまたぐ請求書にも対応できるか

mouclaの税率対応

mouclaは、軽減税率・インボイス制度に対応しており、消費税率の変更にも対応しています。税率の追加・切替・集計に関する機能は、いずれも標準機能で利用できます。

確認項目 確認のポイント mouclaの対応
税率の追加 登録できる税率の数に上限はないか 登録できる税率の数に上限はありません
切替の方法 税率の導入時や元に戻すときに、一括更新や適用期間による自動切替など、切替作業を簡単にする仕組みがあるか 新しい税率を追加登録し、商品マスタの税率を一括更新して切り替えます。適用期間による自動切替の機能はありません
過去伝票の税率 過去の伝票・請求書の税率が、当時のまま保持されるか 旧税率を残したまま新しい税率を追加登録するため、過去の伝票は当時の税率のまま保持できます。なお、使用中のデータがある旧税率は削除できません
商品・明細ごとの税率 商品ごと、伝票の明細ごとに税率を設定できるか。販売と仕入で別々に設定できるか 商品ごとに設定でき、販売と仕入で別々に設定することもできます。伝票の明細ごとにも税率を登録できます
販売日以外で税率が決まる取引 定期供給契約や通信販売など、取引に応じて税率を指定できるか 伝票の明細ごとに税率を登録できるので対応可能です
返品・訂正の処理 切替後に、切替前の販売の返品・訂正を、元の税率で処理できるか 伝票の明細ごとに旧税率も使用できるので対応可能です
請求書・集計表 3区分以上の税率ごとに、請求書の区分表示や集計ができるか。締め期間が切替日をまたぐ請求書にも対応できるか 請求書などで税率ごとに区分して表示できる数に上限はありません。また、軽減税率の対象明細が分かるように表示されます。
締め期間が切替日をまたぐ場合は、一時的に締日を変更し、分けて発行できます。
税率別の売上・仕入を確認できる消費税集計表もあります。

自社の運用に合わせた個別の対応が必要な場合は、カスタマイズ(別途費用)でご相談いただけます。

まとめ

  • 今回の引下げ案は、基本の考え方は従来と同じだが、3種類の税率が並ぶ点と、期間終了時の戻し処理が加わる点が異なる
  • 税率が変わるときは、切替日の扱い、過去伝票の税率の保持、返品や仕入・販売の税率の違いなどに対応できるかを確認しておきたい
  • mouclaは、税率の登録数に上限がなく、旧税率を残した追加登録と税率の一括更新に標準機能で対応している。個別の対応はカスタマイズ(別途費用)で相談できる

出典・参考資料

本記事の表や説明は、上記の資料を、株式会社ダイドーシステムが加工して作成したものです。国税庁・財務省・内閣官房が作成したものではありません。

税率変更への対応や、mouclaの機能についてご興味をお持ちいただけた方は、お気軽にお問い合わせください。ご要件に応じてご提案いたします。

mouclaの税率対応についてご相談ください

標準機能に加えて、貴社の業務に合わせた仕組みを構築できます。

クラウド型販売管理システム moucla(もうクラ) クラウド型販売管理システム moucla(もうクラ)

mouclaのカスタマイズ事例

カスタマイズ事例一覧

よくある質問

税率が変更になったとき、販売管理システムの設定変更は必要ですか?

システムによって異なります。mouclaでは、設定変更が必要です。
既存の税率を上書きせず、旧税率を残したまま新しい税率を追加登録します。そのうえで、商品マスタの税率を一括更新します。

税率が3種類以上に増えても、販売管理システムで対応できますか?

はい。mouclaでは、登録できる税率の数に上限はなく、請求書などで税率ごとに区分して表示できる数にも上限はありません。

税率変更への対応について、カスタマイズで相談できますか?

はい。税率の追加・切替・集計などの基本的な機能は標準機能で利用でき、カスタマイズは不要です。そのうえで、自社の運用に合わせた個別の対応が必要な場合は、カスタマイズで対応できます(別途費用が発生します)。ご要件に応じてご相談いただけますので、まずはお問い合わせください。