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表紙とコラム Vol.38
機具岩(志賀町)

先日、ある作品展で不思議な光景を目にしました。それは小学生の写生大会の入賞作品を紹介する企画だったのですが、展示してある絵に名前がないのです。おやっと思って隅の方に視線を移すと、「個人情報保護のため名前は掲示しません」と小さく張り紙がしてありました。

個人情報保護と作品展で受賞者の名前を伏せることに何のつながりがあるのか、私にはわかりません。苦心の末に完成した作品が賞を取った場合、私は名前とともに称えるのが当たり前だと思っていました。受賞した本人も、その方が今後の励みになるでしょうに・・・

個人情報保護法が施行されて以来、このような首をかしげてしまうような出来事が様々な場面で増えていると聞きます。

たしかに匿名措置は時と場合によっては必要なことでしょう。たとえば病院の窓口で名前を呼ばれることに抵抗を覚える人がいるのももっともで、これはすぐにでも改善するべきだと思います。 けれども世の中のすべてがこのようなケースにあてはまるとは限らないのです。

個人情報保護法に戸惑う気持ちはわかりますが、何でも手当たり次第に匿名とすることがプライバシー問題をますます見えにくくしています。 プライバシーに配慮するとはどういうことなのか、あらためて考えてみませんか。

機具岩(志賀町)
昔、能登に織り物の技術を広めた比咩神社の祭神・渟名木入比咩命(ぬなきいりひめのみこと)が山賊に遭い、背負っていた織機を海に投げたところ、忽然と岩に変じたという伝説が残っています。 伊勢の夫婦岩「二見岩」に似ていることから「能登二見」とも呼ばれ、夕日の名所でもあります。 (機具岩=はたごいわ)

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