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表紙とコラム Vol.107
舟川べりの桜並木(富山県朝日町)

東日本大震災の数日後、テレビが韓国の街頭の様子を映していました。 それは若い女性が日本に向け「ファイティーン!」とガッツポーズをしながら叫んでいるもので、あっけらかんとしていてどこか不謹慎にも思える言動でした。
けれども振り返れば、私自身も海の向こうで起きた大災害を冷めた目で見ていたことがありました。たとえばスマトラ沖地震やサモア沖地震のとき、私はそれほど深刻な思いには至らなかったような気がします。存亡にかかわる危機に直面した国家にはもっとしっかり向き合い、相手を思いやる気持ちを持たねばならないと反省している次第です。

今回の震災では、遠い海外から温かな言葉をかけてくれた人がたくさんいました。 おそらくそうした人たちはこれからも日本の復興を見守ってくれることでしょう。 そんな厚情 に応えるためにも私たちは居住まいを正していかなければなりません。

けれどもそんな中にあって残念だったのはプロ野球のセ・リーグが震災直後、3月25日の開幕を押し切ろうとしたことでした。 何でも「いい試合をすれば生産性が上がる」などと発言したオーナーがいたのだとか・・・開幕を楽しみにしている人がいるのはわかりますが、計画停電で市民が節電に努めている中、ドームで照明をつけて野球をやろうという考えが理解できませんでした。
そんなことをすれば、やさしい眼差しを日本に向けている外国の人たちだって呆れ果ててしまうことでしょう。「勝手にしろ」とそっぽを向いてしまうかもしれません。けっきょく開幕はパ・リーグと同日になりましたが、窮地に陥ったときには軽はずみな行動を慎まなければならない・・・ そんな教訓になったように感じます。

舟川べりの桜並木(富山県朝日町)
富山県と新潟県の県境の朝日町にある舟川の両岸には、約1.2kmにわたりソメイヨシノが植えられています。 この地区はチューリップの生産も盛んで、春になると立山連峰をバックに、チューリップ、菜の花、桜が咲き誇り、みごとな景色を見せてくれます。

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