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表紙とコラム Vol.127
千枚田−あぜのきらめき(石川県輪島市)

医療機関で注射をされるとき、かつては看護師さんから「痛くないですよ」などと声をかけられたものですが、最近は「チクッとしますよ」というのが決まり文句になりました。痛みを理解しているのだと看護師が示すことで針を刺される側の恐怖感や緊張感が小さくなるのだそうです。たしかに「痛くない」などと気休めにもならないことを言われるよりも擬音で痛みを表現してくれる方がどこか安心できます。

ただ、この場合もどんな言葉を選択するかで印象は変わってきます。「ブスッ」と言われたら逃げ出す人がいるかもしれないし、「チクン」でもやや刺激が強そうです。やはり促音の「チクッ」は痛みを分かち合うのに最適な言い回しといえるのでしょう。

さて話は変わりますが、年の瀬を迎えそろそろ年賀状書きの時期となりました。親しい人の顔を思い浮かべ賀詞を考えている人も多いでしょう。
が、その一方で東日本大震災以降、手放しで新年を祝うのもどうかという雰囲気が多少なりとも続いています。加えて景気の低迷が長引き、知人が倒産やリストラに追い込まれてしまうケースも少なくありません。そんな人たちに「おめでとう」や「賀正」などと記すのは気がひけるものです。できれば相手の胸中を察し新年に希望を持ってもらえるような言葉をしたためたいのですが、なかなか思い当たりません。

「チクッとしますよ」のような思いやりのある言葉を私は今探しています。

千枚田−あぜのきらめき(石川県輪島市)
能登半島、輪島市の白米千枚田では、2013年2月17日まで太陽光発電LEDによるイルミネーション(あぜのきらめき)が楽しめます。 20000個の太陽光発電LEDが幾何学模様の千枚田を浮かび上がらせます。散策道を歩けば、一面ピンク色に煌く、幻想的な世界を味わうこともできます。

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