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表紙とコラム Vol.116
木場潟からの白山(石川県小松市)

私は気持ちの切り替えがすぐに出来ないタイプです。何かに一度心を動かされてしまうと、しばらくはその余韻に浸り続け、「次の刺激を」などという考えにはなかなかなれません。
そんな私にとって、ちょっと釈然としないものを感じるのがクリスマスです。
大人も子供もケーキだ、プレゼントだと浮かれているのに12月25日が過ぎてしまうと、誰もそんな話題に触れようとしません。繁華街のツリーはいっさい片付けられ、ウインドーの中は正月飾りに変わってしまうのです。新年の到来に向け旧年にけじめをつけようとするのは日本人らしさのひとつですが、やや現金に感じなくもありません。

昨年の12月26日、バスの中で小さな女の子が突然「ジングルベル」や「赤鼻のトナカイ」を歌いだしました。たぶんその女の子はクリスマスがよほど楽しかったのでしょう。クリスマスが過ぎたからといって、高揚した気分にピリオドを打つことなど出来なかったのです。きっと欧米にはあのような子供がたくさんいて、クリスマスの余情の中で1年の終わりの時間が緩やかに流れていくのでしょう。

それに比べると日本人の年の瀬は急流のような慌しさです。すべてを振り切ろうとするあまり加速がついてしまうのでしょうか。
けれども年越しの時間は大河のようにもっと鷹揚であっても良いのかもしれません。なにもすべてをリセットする必要はないのです。
忘れてはならない出来事のあった2011年だけに、私はそんな思いをより強くしています。

木場潟からの白山(石川県小松市)
加賀三湖のひとつ、小松市の木場潟はカヌー競技の世界大会も行われ、湖岸には多目的グラウンドやドッグラン、花菖蒲園などを備える公園が整備され、市民の憩いの場になっています。 晴れた日には霊峰白山の撮影スポットにもなっています。

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