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表紙とコラム Vol.92
兼六園のライトアップ(金沢市)

いつの頃からか、あまり遠出をしなくなりました。行きに比べて帰りの時間がとても短く感じられるのがつらいのです。 非日常の世界から急激に日常に引き戻されるようで・・・むろん現実として往復それぞれに要する時間に大きな差異があるわけではありません。 帰り道があっという間だというのはあくまでも私の錯覚なのです。

よく年をとると一年が短くなるといわれます。これについて「自分の体験で時間を捉えるからだ」などと解説する心理学者がいるようです。 たとえば2歳児の1年はそれまで生きた時間の半分ですが、30歳の1年は30分の1ということになります。 そうやって見積もっていくと加速度的に時間の感覚が短くなっていくというわけです。 この話を聞いたとき、私は帰りの移動時間を短く感じる理由がわかったと思いました。つまり帰りの時間はそこまでの行程からみるとごくわずかな比率でしかありません。 そのために復路は空しいくらいに早く感じられてしまうのです。

帰り道が行きの時間以上にたっぷりとして期待にあふれていたという話はついぞ聞いたことがありませんが、もしもそんな魔法のような感覚になれるのであれば、私は年末年始に長い休暇をとってどこか遠くへ旅に出ることでしょう。

兼六園のライトアップ(金沢市)
日本3名園のひとつ、兼六園は1年に数回、ライトアップが行われます。写真は11月のライトアップの時で、「雪吊り」を背景に、池に映る紅葉です。 次回のライトアップは平成22年2月5日から7日、11日から14日が予定されています。是非、ライトアップされた名園をお楽しみください。

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