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表紙とコラム Vol.77
下時国家(輪島市)

20年ほど前まで都会の駅の改札口にはパンチを手にした駅員さんがずらりと並び、洪水のように押し寄せる乗客の切符をすさまじいばかりの早さでさばいていました。改札が自動化された現代は便利でスムーズにはなりましたが、駅は超人的な切符切りが構えていた往時の方が今よりエネルギッシュだったような気がします。

駅の改札に限らず、いつの頃からか無人の施設で機械だけを相手にすることが多くなりました。むろん背景には人件費の削減ということがあるのでしょう。
金融機関での振込みや引き出しをATMで行うのはもはや当たり前ですが、今後はスーパーなどでレジの無人化が進むのだといいます。

そういえば最近、デパートに行くとエレベーターガールが乗り合わせているエレベーターがずいぶん少なくなりました。いまどきエレベーターの乗り方に不安がある人は皆無でしょうし、それならば扉の開閉など利用客に任せてしまえというのは道理です。けれどもだからといってデパートならではの行き届いたサービスの象徴だったエレベーターガールが消えてしまうとは・・・

無人化によってどんどん変わる街の気配が無味乾燥なものに思えてなりません。

下時国家(輪島市)
時国家は、能登最古の民家で、国の重要文化財に指定されています。 壇ノ浦の戦いで敗れた平家の武将平時忠が能登に移り、時国家の祖となりました。 下時国家は分家であり、本家の上時国家と共に繁栄しました。 両家とも庭園があり、国指定の名勝に指定されています。

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