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表紙とコラム Vol.09
武家屋敷跡

まだまだ風の冷たい金沢ですが、あちらこちらの梅園では梅のつぼみがふくらみつつあります。余寒にひるむことなく花をつける梅に、りりしさや清々しさを感じるのは私だけではないでしょう。

観梅の風習は奈良時代からすでに行われていたそうです。当時も早春の梅は人々の心を打ったようで「万葉集」に登場する梅の歌はサクラの歌の約3倍、118首にも及んでいます。そんな格別の花だったからか、梅には多くの異名があり「春告草」「匂草(においぐさ)」「風待ち草」「香散見草(かざみぐさ)」「好文木(こうぶんぼく)」など様々に呼ばれてきました。どれも風流人の感動がそのまま読み込まれたようなネーミングです。

話はかわりますが、今、合併して新しくなる市や町の名前を公募するのが流行っています。大勢の人に知恵を絞ってもらおうということなのでしょうが、これまでに決まった名前をみると、集まった町から一字ずつもらったり、平仮名にしたりというケースがほとんど・・   親しみやすく、わかりやすくという狙いなのかもしれませんが、先述した梅の異名に比べるとあまりに味気ない気がしてなりません。どうせ新しくするのなら、その土地の自然や風土、暮らしがぱっと頭に浮かび、「行ってみたい」衝動にかられるような地名をお願いしたいものです。

武家屋敷跡 (金沢市)
「北陸の小京都」「加賀百万石の城下町」様々な呼ばれ方をする金沢の中心街にある、長町武家屋敷跡。
黄土色の土塀が続く町並みが昔をしのばせます。武家屋敷跡の中には屋敷の中を公開しているものもあり、中では加賀藩の伝統工芸を紹介しています。
北陸の雪から、土塀を守る「こも」は兼六園の「雪吊り」とならび、金沢の冬の風物詩になっています。


 問合せ:076-232-5555(金沢市観光協会[金沢駅構内])

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