五輪真弓というシンガーソングライターのヒット曲「恋人よ」の中に「駆け足でマラソン人(びと)が行き過ぎる」という歌詞が出てきます。
「マラソン人」という響きは文学的ですが、つまるところリリースされた1980年当時はまだ「市民ランナー」や「ジョガー」などという言葉が一般的ではなかったということなのでしょう。

あれから36年、この国は空前のマラソンブームに沸いています。全国各地で大規模な市民マラソン大会が開かれるようになり、金沢でも昨年から金沢マラソンが始まりました。
サブフォー(4時間切り)を目指す私の知人は週に一度は20キロから30キロの長い距離を走っています。
金沢市から富山県高岡市まで走ったと涼しい顔で言われたときには驚きましたが、記録を狙うにはそれくらいの走り込みを適度にやる方が良いらしいのです。

ただ、そうやって本格派のランナーが増える一方で、ランニングブームに陰りがみえると指摘する声もあります。
日本人の余暇活動の実態をまとめた「レジャー白書」によると、「ジョギング、マラソン」を楽しむ人は近年減少傾向にあるそうです。
反対にじわじわと浮上して来ているのが「ウォーキング」・・・言われてみれば、ぶらぶらとただ街を散策するだけのテレビ番組がこのところ増えました。
話題の「ポケモンGO」だって、そのような波に乗ったと言えなくもないでしょう。
時代は走ることから歩くことに舵を切ろうとしているのかもしれません。