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表紙とコラム Vol.45
山中温泉鶴仙渓(加賀市)

自他ともに認める方向音痴だった友人がドライブ中、道に迷わなくなりました。 理由は簡単、カーナビの性能が上がり、機械の指示通りハンドルを切っていれば難なく目的地にたどりつけるようになったからです。 以前は同じところをグルグル回ったりまるで正反対の方向に走ったり、とにかく有り得ないような迷走ぶりでしたから 同乗者は一安心していることでしょう。 けれども私はそんな話を聞いて少し残念にも思うのです。 実を言うと私も彼の迷ドライブに付き合わされた一人なのですが、 うろうろと入り込んでしまった路地で意外な店や名所を見つけることが何度かありました。 その中のいくつかは今や私の行きつけになっています。 おそらく道を間違えなければ私がそうした場所と出会うことはなかったでしょうし、 そんな偶然が今後なくなるのかと思うとカーナビの登場が少し恨めしくもなるのです。

似たような話は電子辞書についてもいえます。 入力すれば即答の電子辞書はたいへん便利ですが、 これまでの辞書のようにページをめくる途中で道草し予想外の知識を得るということがなくなりました。

世の中が進化した現代、人間は目的を最短で果たすことが可能です。 しかし、その裏で私たちは数々の思いがけない発見を逃しているのかもしれません。

山中温泉鶴仙渓(加賀市)
北陸を代表する温泉の一つ、山中温泉は開湯1300年の歴史を誇ります。 昔、行基というお坊さんが開き、戦国の時代に一旦は廃れましたがその後能登の領主・長谷部信連が訪れた時に、 現れた薬師如来の言葉に従い掘ったところ、美しい温泉が湧き出たとされています。 歴史ある温泉の周りには数多くの名所・旧跡があります。

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