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表紙とコラム Vol.36
うるし蔵(加賀市)

ずいぶん前のことになりますが、大相撲のテレビ中継にゲストとして招かれたある落 語家が「最近のお客さんは相撲を見ながら、飲んだり食べたりなさいませんなあ」と しみじみ語っていました。たしかにその日、カメラは何度か客席を捉えましたが、も のを食べながら観戦している人はまれでした。
大相撲の升席では弁当や飲み物、つまみなどがお土産と称して配られているはずなの に、それを開けようともしないとは・・・ 大相撲の客席風景も変わったものです。

メジャーリーグの中継では、コーラ片手にホットドッグをパクついているファンの姿 などが時折映し出されます。聞くところによるとメジャーの球場の中にはスタンドの 一角にバーベキュー施設を設けているところもあるとか・・・
食事を楽しみながらの観戦が文化のようになっている様子を見るにつけ「メジャーっ ていいな」と感じてしまいます。

話を戻すと、日本古来のスポーツで興行主が飲食物を提供してまでもてなしてくれる のは大相撲をおいて他にはありません。しかも一部の席は畳敷きです。こんなにくつ ろげる観戦空間はそうそうあるものではありませんし、海外の人たちの目にはきっと 素敵な日本文化に映ることでしょう。
それだけに私は大相撲の観戦スタイルが変化してきていることが残念でなりません。
まもなく夏場所・・ 座布団が乱舞するのもけっこうですが、大相撲にふさわしいの はやはり箸を動かし杯を空けつつ声援を送る相撲客の姿ではないでしょうか。

うるし蔵(加賀市)
うるしの一大産地であった加賀に、多くの人々がうるしの文化に触れる事が出来ようにと、うるし美術館は生まれました。 「日本人の遊び心」をコンセプトにし、庭やトイレの前にまで美術品が配置されています。 美術館という堅苦しいイメージとは無縁の、ミュージアムパークとして地元、観光客に人気です。

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