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表紙とコラム Vol.12
妙成寺

北陸の観光地のひとつに立山黒部アルペンルートがあります。中でも雪の大谷と呼ばれる山岳道路には、初夏の今の時期でも20メートル近い積雪があり、両側にそびえたつ雪の壁は圧巻です。

ところでこの雪の大谷・・ 深い雪に埋もれている道路を掘り当てるのは長い間、山肌を頼りにした目測で行なっていたそうです。これぞまさに職人芸!初めて聞いたときはびっくりしました。ただ、そうした除雪作業も近年は衛星による位置測定に移行しているのだとか。たしかに現代の情報技術を使えば雪の中の路面を探ることぐらいたやすいものでしょう。事実、誤差はたった30センチくらいだそうです。短縮される作業時間なども含めると、人間の力なんてちょっとかないそうにありません。おそらく情報技術というのは、そうやって名もなき人たちの神業ともいえるテクニックを封印しながら進歩していくのでしょう。

でも、その一方で効率ばかりを優先するのもどうかなと、私は思うのです。たしかにコンピューターのおかげで何でもやすやすと事が運ぶようになりました。ですが、たとえば細い1本の道路を見つけるため雪原に挑んでいくような気概を忘れてしまっては、新しい発想は生まれて来ないでしょう。要はどんな心がまえでコンピューターに向かうかということなのです。

妙成寺 (羽咋市)
羽咋市の田園の中、こんもり茂る木々の中から顔を出す妙成寺五重塔。妙成寺は北陸の日蓮宗の本山で、日蓮聖人の孫弟子、日像上人が開山しました。
加賀三代藩主利常の母・寿福院の菩提寺でもあります。国の重要文化財にも指定されている五重塔のは高さは34.18mもあります。


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